いつかは仕事を辞めてゆっくり暮らしたい。
私は会社員になってからずっと思い描いてきました。
仕事を辞めるとは無職になるということです。無職になっても生きていけるくらいの貯金があるか、働かなくてもお金が入ってくる仕組みが必要です。
しかし、そんな夢見る我々を国は許してくれません。無職になっても支払い続けるお金というものが存在するのです。今回はそんな話です。
会社員から無職になった場合のお金の流れ
会社員から無職になった場合、今まであった税金や社会保険はどうなるのか。
今回は以下の設定でシミュレーションしてみました。
今回の設定
・2024年9月末に退職
・2023年の年収は約500万円
・2024年の途中で退職したため、2024年の年収は約350万円
・失業保険を申請
・退職後の収入はなし
・収支の項目が全て同額である場合はまとめています(金額を合算しているわけではありません)
・今回の検証では家賃や光熱費、食費などは含みません(「★合計収支」を確認ください)
まずは図1に今回検証する全てのお金の流れを示します。

図1の日付に記載してある番号は以下の通りとなります。
①会社員の期間(前年度の年収は約500万円)
②無職開始期間(前年度の年収は約500万円)
③無職になってから年度が替わった1年目の期間(前年度の年収は約350万円)
④無職になってから年度が替わった2年目の期間(前年度の年収は0円)
給与所得
給与所得の推移は図2のようになります。

給与所得は会社員であった①の期間しかありませんので、②③④の期間は0円になります。
所得税
所得税の推移は図3のようになります。

①の期間は会社のため給料から天引きで徴収されます。
②の期間は所得がないので所得税はありませんが、確定申告することで年収差額の還付金を受け取れます。
③④の期間は所得がないので所得税はありません。
雇用保険
雇用保険の推移は図4のようになります。

雇用保険は会社員の①期間しかありません。
健康保険
健康保険の推移は図5のようになります。

会社員時代の健康保険です。協会けんぽ、健康保険組合、共済組合があり、①の期間は会社と折半で支払いを行います。給料から天引きになります。
②③④の期間は国民健康保険に切り替わるため健康保険の支払いはありません。
厚生年金
厚生年金の推移は図6のようになります。

会社員時代の①期間は厚生年金が給料から天引きされます。会社と折半で支払っています。
②③④の期間は国民年金に切り替わるため厚生年金の支払いはありません。
住民税
住民税の推移は図7のようになります。

住民税は前年の年収を基に計算されます。
①期間…前年度の年収500万円を基に計算された税金が会社員のため給料天引きとなる
②期間…会社を辞め給料からの天引きがなくなります。納税通知書が市区町村から届くので残りの今年度分の金額を支払います。一度に大きな金額を請求される可能性があるため、事前に準備が必要です。(今回の例では第4期の支払いタイミングで一括支払い)
③期間…前年度の年収350万円を基に決まった住民税を決まった月(年4回)に支払います。
④期間…前年度の収入がありませんので、住民税は0円になります。(※自身の住民税が0円でも、世帯に一定の収入がある場合は住民税非課税世帯にはなりません)
国民健康保険
国民健康保険の推移は図8のようになります。

会社を辞めた場合は国民健康保険に切り替えを行う必要があります。
①期間…会社員のため国民健康保険の支払いはありません。
②期間…市区町村で国民健康保険の切り替え手続きを行った後、支払いが発生します。前年度の年収約500万円を基準に計算されます。
③期間…前年度の年収約350万円を基に計算された金額を支払います。
④期間…前年度の収入が0円のため最低限の金額になります。特別な理由がない限り0円になることはほとんどありません。
国民健康保険は自己都合退職の場合は原則として減免対象外ですので、会社を辞めた場合でもしばらくは高額な支払いが発生します。
国民年金
国民年金の推移は図9のようになります。

①期間は厚生年金のため支払いはありません。
②③④期間は一定金額の支払いが発生します。
国民年金は退職した場合、免除・猶予申請を行うことができます。支払いが難しい場合は免除・猶予申請を検討してみてください。
失業保険
失業保険の推移は図10のようになります。

失業保険の金額や受給タイミングは、勤続年数や退職前の給料、申請するタイミングで異なります。
今回の例では以下の設定となります。
・勤続年数は10年以下
・退職後すぐに申請
・職業訓練は受講なし
★合計収支
合計収支の推移は図11のようになります。

仕事を辞めて無職になった場合、一時的に失業保険で収入を得ることは出来ますが、それ以外は毎月毎月何らかの支払いが発生します。
図11の合計収支には含まれていませんが、家賃、光熱費、食費、その他固定費などと合わせると大変な支出になります。
まとめ
今回は会社員を辞めて無職になった場合のお金の流れをシミュレーションしてみました。
今回の結果で分かるように、無職になっても税金や社会保険の支払いはしばらくの間減りません。減ったとしてもなくなることはありません。
会社員として働きたくない人は、大量の貯金がある、または働かなくても収入を得る方法がある場合のみ安心して辞めてください。
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