株式投資を行っている人に限らず、レアアースに注目が集まっていることを、皆さんはご存じでしょうか。現在、レアアースは国家の死活を制する「戦略的要衝資源」と言っても過言ではありません。
そしてこの手の話は株式市場にも大きな影響を及ぼします。
今回はレアアースがもたらす投資チャンスと、知っておいたほうが良い情報をまとめますので興味のある方は見ていってください。
そもそも「レアアース」とは?
まずは簡単にレアアースについて説明します。
レアアースはランタノイド系列の15元素にスカンジウムとイットリウムを加えた計17元素になります。(図1参照)

レアアースの用途
アアースはハイテク機器や電気自動車、風力発電機、LED照明、その他の様々な用途があります。「産業のビタミン」とも呼ばれ、現在は製品の製造に不可欠な希少金属です。
なぜ「レア(希)」と呼ばれるのか?
「レア」という言葉から「地球上にほとんど存在しない」と思われがちですが、実は地殻中の含有量自体は決して少なくありません。 例えば、セリウム(Ce)は銅よりも多く存在しています。それにもかかわらず「希」とされるのは、主に以下3点の理由になります。
・鉱床の希少性
薄く広く分布しているため、採算の合う濃度で掘り出せる場所が限られています。
・分離・精製が極めて困難
レアアースの各元素は化学的性質が非常に似通っています。そのため、複数の元素が混ざった状態から特定の元素を取り出すには、何百回もの化学工程を繰り返す必要があり、莫大なコストと高い技術力が求められます。
・環境負荷の高さ
精製プロセスで大量の酸や化学薬品を使用するため、深刻な環境汚染を引き起こしやすく、先進国では環境規制によってコストが跳ね上がった結果、生産が難しくなったという経緯もあります。
レアアースをめぐる世界的問題点とは?
現在、世界のレアアース生産の約6割、そして高度な技術を要する分離・精製工程においては約9割が中国に集中しています。中国が世界のレアアース市場を支配している背景には、単なる埋蔵量の多さだけでなく、環境負荷の高い精製工程を許容してきた歴史的経緯があります。レアアース鉱山からの抽出には強酸が使用され、放射性廃棄物を含む大量の廃水が発生します。
このような環境負荷が生じるとわかっているので、レアアースを生産、製造する国は限られており、国家戦略として実施している中国の一人勝ち状態になっています。
日本も大きな影響を受けており、過去に中国からの輸出制限措置をされた際(※1)には、レアアースが外交上の「武器」として利用され得ることを世界に知らしめた結果になりました。
※1 尖閣諸島周辺での漁船衝突事件(2010年)に端を発した中国による輸出制限措置が実施された
日本におけるレアアースの現状と進捗
レアアースの生産、製造が中国一強である現状を日本は変える必要があります。
対策としては主に4つあります。表1にまとめます。

上記の表の中で特に注目されているのが、「2. 国内資源の開発」です。
日本は、自国の排他的経済水域(EEZ)内である南鳥島周辺に、世界最大級のレアアース資源が存在することを発見しました。この「レアアース泥」は、水深約6,000メートルの海底に堆積しており、その採取は人類未踏の挑戦でしたが、2026年2月に試験採掘に成功しています。
今後も課題(特にコスト面)は残りますが、レアアースの自給国として成功する可能性は大いにあると思いますし、願いたいです。
レアアース関連銘柄の紹介
投資家にとってレアアース関連銘柄は中長期的な成長テーマとして大注目されています。 投資対象として、直近の南鳥島沖での試掘成功を受けて「レアアース泥・マンガンノジュール開発推進コンソーシアム」(※2)の参加企業には再注目なのですが、採掘・設備を担う「上流」、精製や分離を担う「中流」、リサイクルや製品化を担う「下流」によって投資戦略は異なるので注目銘柄の一例を紹介します。 (表2)
あくまで、個人的な予想ですのでその点はご注意ください。結果的にレアアース事業に参戦しない企業も出てくると思いますので、その点のリスクはご認識ください。

※2 日本を代表する30以上の企業、政府機関、大学・研究機関が参画し、レアアース泥開発システムの全体最適解を検討
レアアース投資におけるリスクと注意点
もちろん、このような世界中が注目している投資対象にはリスクが付き物です。以下のようなリスクを理解した上で、投資対象とするのか判断してみてください。
市況の極端な変動と中国の動向
現在レアアースは中国の「外交のカード」として使われています。
中国が市場シェアを守るために意図的に価格を暴落させた場合、日本のプロジェクトの採算性が悪化し、関連企業の株価に悪影響となるでしょう。
技術的・コスト的リスク(南鳥島プロジェクト等)
「採算が取れるコスト」でレアアースを継続的に掘り出し、精製する技術はまだ確立されていません。2030年の商用化予定まで、収益化できない期間が長く続くと考えたほうが良いです。
リードタイムの長さ
資源開発は、探査から収益化までに10年単位の時間を要する可能性があります。銘柄によっては長期投資前提となる可能性もありますので、資金の余裕や日本株全体の状況を踏まえて投資タイミングを決めましょう。
プロジェクトの失敗(南鳥島プロジェクト等)
何らかの問題が発生して、レアアースの採掘が中止、延期になると関連株の株価が暴落する可能性が高いです。例えば、ロケット事業でロケットが飛ばなかった時のように、一気に株価が下落することも頭に入れておきましょう。
時間軸の設定
短期投資か、長期投資かを明確にしましょう。
ニュースだけで動いている「思惑株」の場合は短期、実際に設備を納入している「実需株」の場合は、未来の成長を見越して長期投資など。
依存度の確認
企業が「中国からの輸入」に頼っているのか、それとも「中国以外での開発」を担っているのかは見極めましょう。どちらが良い悪いではなく、今後の市場の動き次第で株価は変わりますので、中国が安い値段でレアアースを輸出すればもちろん「中国から輸入」している企業が成長します。
まとめ
今回はレアアースと関連株について分析してきました。
レアアースは今後の日本産業にとって非常に重要な位置付けであり、投資家にとっても大きなチャンスになりえます。逆もまた然りで、下手な戦略で投資を行うと大ダメージを受けかねません。
自身の投資ルールをしっかり確認して、レアアース市場に参戦するかどうかから考えていきましょう。

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